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人事・採用担当者、注目の評価基準!「やり抜く力・グリット」とは?

人事・採用担当者、注目の評価基準「やり抜く力・グリッド」とは

皆さんは「グリット」という言葉をご存知でしょうか?

成功する実業家やスポーツ選手が皆、
共通して持っていると言われるのが「グリット」です。

最近では、書籍も発売されており、
脳科学者や心理学者の間で注目を集めています。

実は近年、このスキルを企業の人事・採用担当者は非常に重要視しています。
そして、「グリット」を持っている人間を、
いかにして発掘するか、ということに力を尽くしています。

グリットとは何か、
なぜ注目を集めているのか、
どうすれば身につくのか、

社会人の先輩、そして採用に関わる人間として、
少しご紹介させていただきたいと思います。
 
 
 

グリットとは

グリットとは、簡単に言うと、
「やり抜く力」を指します。

やりぬく力

日本でも大人気のプレゼンテーション媒体「TED」に登壇した
心理学者のアンジェラ・リー・ダックワースさんは、
プレゼンテーションの中で、こう紹介しています。

====
「グリット」とは、物事に対する情熱であり、
また何かの目的を達成するためにとてつもなく長い時間、
継続的に粘り強く努力することによって、
物事を最後までやり遂げる力のことです。

====

ダックワースさんは、成功に必要なのは努力なのか、才能なのか?という
学者の間で、長きにわたって議論されるこの問いに対して、
第3の成功因子として、この「グリット」を紹介しています。

「グリット」に関する研究の1つで、
過酷な軍隊学校を卒業できるかどうかの研究があります。

この研究では、まず知能テストや体力テストに合わせて「グリット」テストを行い、
各結果を元に、過酷な軍隊学校のカリキュラムを無事クリアできそうかどうか、
予想しました。

そして、いざ軍隊学校のカリキュラムを終えてみると、
知能テスト等で予想したよりも、「グリット」テストで予想した方が
的中率が高かった
、という結果が出たそうです。

つまり、体力や知能を基準に人を測るよりも、
「グリット」を基準にした方が、より正しく予測できた
ということです。

グリットがある状態を、より身近な例で言うと、

・毎日1時間、家で勉強する
・毎朝朝刊を必ず読む
・1度も休まず3年間朝練を続ける

などなど、

皆さんの周りにも、そんな尊敬できる友達がいたのではないでしょうか?

そして、この「グリット」を持っていた友達はいま、
何かしらの分野で活躍しているのではないでしょうか?
 
 
 

では、なぜ「グリット」が重要なのか

では、なぜグリットの有無が大きな差を分けてしまうのでしょうか。
それには2つ理由があります。

まず1つは、『塵も積もれば山となる』から

1つ目の理由は単純です。
たとえ小さな差でも、それが数年後積み重なると大きな差になるからです。

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自宅では全く書けないが、小屋にこもってしまえば1日20~30ページ書けてしまう作家A
1日1000ワード(およそ2~3ページ)書くと決めて、コツコツと原稿をため続ける作家B

小説を1本書くだけなら、作家Aでも十分いい作品が書けるかもしれません。
しかし、1~2年のスパンで見たとき、どっちの作家の方が多く作品を書き上げているでしょうか?

作家Bは1年後には900ページの原稿が仕上がっています。
ちなみに、『ハリーポッターと賢者の石』は全455ページだそうです。
つまり、作家Bはハリーポッターぐらいの文量の小説を1年後には2本書き上げています。

作家Aは、ムラがあるので、上手く行けば2本、
最悪の場合、1本も完成していない可能性も十分に考えられます。

作家Aと作家Bが同じ文章力だとした場合、
売上は単純に作家Bが2倍、経験値も作家Bが2倍で
その次の年、また次の年と差が開いていくはずです。

実は、社会人でも全く同じです。
社会人になってからはダッシュ力は求められません。
全てが長距離走、持久戦。
継続力が求められます。

なぜなら、社会人生活は20代前半から60代までの約40年間続く戦いであり、
企業も1発勝負で終わる気はなく、存続し続ける限りはいくつもチャレンジを繰り返すからです。

小学生~大学生の間に経験してきた長期戦は、
せいぜい受験勉強ぐらいでしょう。
それも長くて2~3年の戦いです。

しかし、社会人になると、1年目の評価が5年目の人事考課に響いたり、
1年目の経験が10年目に生きたりする
のです。

作家Bは「最高速度」は決して高くありませんでしたが、
「平均速度」は作家Aに圧勝です。

「グリット」=やり続ける能力が大きな分かれ目になることに疑いの余地はありません。
 
 
 

2つ目の理由=グリットは才能に関係ない

グリットが重要視されるもう1つの理由が
グリットは「生まれながら持っている能力」ではなく、
「生まれてから獲得する能力」
だということです。

生まれてから獲得する能力

知能や体力、というと
ケンブリッジ飛鳥がウサイン・ボルトより速く走れないように、
(リオ五輪リレーの銀メダルはすごかったですが)
生まれながらの才能によって、差がついてしまいます。

しかし、「グリット」は生まれながらの能力に関係なく、
純粋に、意思の強さと、どんな環境に身を置くかで決まると言われています。

例えば、大リーグ通算3000本安打を達成したイチロー選手。

イチロー選手は決して、先天的に体格に恵まれた選手ではありませんでした。
小柄で細身、センスは持っていたのだと思いますが、
ケガで投手から野手に転向することになり、ドラフトは4位で、
2軍からプロ生活を始めています。

しかし、なぜあそこまで偉大な選手になったのか。
それは、同じことをひたすらやり続けたからです。

イチロー選手は、いまだに試合前日や当日のルーティンは欠かさず、
微修正はもちろんあるのでしょうが、
同じ準備をひたすら繰り返しているそうです。

他にも、エジソンは電球を発明するのに、フィラメントというパーツに
ふさわしい物質を何千種類も試したそうです。

投資家のウォーレン・バフェットという人物は、
昔記者から「株で勝つ秘訣は?」と問われ、
「アルファベットのAから順に、何千、何万という銘柄に対して、
しっかりと財務調査をし、割安だと思った株を買えばいい」
と言ってのけたそうです。

常人ならば、途中で無理だと投げ出してしまうような、
一般人なら飽きてやめてしまうようなことを、
月日単位ではなく、年単位で繰り返し行えるかどうか、

それだけで世界中から称賛を集める人間にだってなれるということです。

イチローもエジソンもバフェットも、生まれながらにして天才だったわけではなく、
ただひたすらに熱中して、没頭して、繰り返しただけなのだと思います。
 
 
 

グリットを身につける方法は=習慣化

ここまで聞くと、グリットは宗教的な、神がかり的な、思い込みのようなものにも
思えてくるかもしれません。
しかし、実際はそれほど現実離れしたものではないのです。

グリットは言い換えれば、習慣だからです。

習慣

皆さんは、
毎朝歯を磨きませんか?
毎日お風呂に入りませんか?
毎晩寝る前に取る行動は大体同じではありませんか?

それら全ては習慣です。
なぜ毎朝歯を磨くのですか?と聞かれても困ります。

歯をキレイにするのはもちろんですが、じゃあ
「今日は歯をキレイにしてやるぞ!」と意気込んで歯を磨く人はおそらくいないでしょう。

おそらく物心ついた頃から、そういうモノだと思い込んで
親に教わったから続けているだけ
の習慣だからです。

グリットを手に入れることは、そうした習慣を
意図して作ってしまうことに近いのだと思います。

そして、苦手なことを習慣化しろ、
とは言われていないのがポイントです。

毎日腕立て100回やれ、
毎晩日記を1ページ書け、のような習慣は
苦手な人には本当に苦痛なことだと思います。

しかし、例えば、野球大好き少年に
毎朝100回素振りしろ、とか

読書が好きな子に、
毎晩10ページ本を読みなさい、と言うことは
あまり負担を強いない習慣だと思います。

つまり、ちょっと得意なこと、好きなことを見つけて、
それをやるのが当たり前、という状況を作る
ことが
グリットの近道だと言えます。

能力的に出来ないことを習慣化する必要はありません。
字が読めないなら、読書を趣味にする必要はないし、
朝起きられないなら朝練を習慣にする必要はないのです。

また、何か高い志を持って習慣化する必要もありません。
何かを得てやろうと目標を持ってその作業に取り組むと飽きてしまいます。

新聞から毎日タメになることを学習してやろうとか
日報で毎回上司を感心させてやろうと考えて、習慣を作ると、確実に飽きます。

なぜ、毎日飽きもせずに歯磨きが出来るのか。
それは、おそらく何も考えていないからです。

毎日、今日は右奥歯を中心にぴかぴかにしてやるぞ!
と考えだすと飽きるでしょう(笑)。

何も考えずに決まったルートを磨いているから
毎日続けられるのです。

習慣化のコツはあまり深く考えないこと。
本来の目的を見失っては意味がないですが、
苦痛になるようなことは避けて
あまり深く考えずに、取り組むこと
のようです。
 
 
 

グリットは気の持ちよう次第で作れる最高の差別化ポイント

グリットとは、

大したことはないが、
ある程度熱中できて好きなことを、
あまり深く考えずに、
ずーっと、しかし一定のスピードで、
年単位で続けること

だと言えます。そして、それだけで周りと大きな差をつけられるのです。

例えば、小学生6年間、毎朝7時ぐらいに起きていませんでしたか?

小学生が6年間、毎朝7時に起きるのは割りとありふれた話です。
しかし、

中学生になっても毎朝7時
高校生になっても毎朝7時

ここまで来るとかなり変わり者です。
さらに、

大学生になっても毎朝7時
社会人になっても毎朝7時

こうなってきたらどうでしょうか。
圧倒的にスゴイ人間に見えてくるのではないでしょうか。

でもやったことは、「毎朝7時起きた」だけ。

一見何でもないことを、腹をくくってやり続けると、
知らないうちに、とてつもない差別化になる可能性があるのかもしれません。

『継続はチカラなり』
結局愚直に続ける人間こそが、最後に笑うのかもしれません。

 

【参照元】
アンジェラ・リー・ダックワース
「成功のカギは、やり抜く力」
https://youtu.be/H14bBuluwB8

164マーケティング
「IQ(知性)よりGrit(やり抜く力)がある方が成功に近づくという話」
http://164s.net/4319.html

Lifehacker
「成果を出したいなら、最高速度よりも「平均速度」を高めるべし」
http://www.lifehacker.jp/2016/03/160323habit_graduation.html

この記事を書いた人

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ryosuke taba

元インターン生/現社員
2014年11月入社/京都大学 文学部 卒
大学卒業後、2016年4月、株式会社インデンに入社。大学3年次から、長期インターンシップ生として、インターンシップ制度の設計運用、および新卒採用とマーケティング事業部の立ち上げ責任者を兼任。2017年6月に、社内最年少でマネージャー職に昇進。現在は、人事・採用ブランドマネジメント事業部で、若手人財の早期戦力化に従事している。

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